日本理化学協会会長  上村 礼子
新潟大会運営委員長  田邉 康彦

 令和8年度全国理科教育大会・第97回日本理化学協会総会を、新潟県三条市にて開催させていただきます。本県での開催は、昭和58年の第54回大会以来、実に43年ぶりとなります。会場となる三条市立大学は、ものづくりの拠点である新潟県中央部に位置し、地域産業と深く連携した新しい学びの象徴ともいえる施設です。

 現在、学校現場では「総合的な探究の時間」や「理数探究」が深化し、理科教育で培われてきた「科学的な探究のプロセス」は、教科の枠を超えてあらゆる学びのエンジンとなっています。本大会では「探究心を育む理科教育 ―地域産業との連携で探る、新たな価値の創造に向けて―」を主題に掲げました。DXやAIの進化が加速する今、教室で学ぶ理論がいかにして社会課題の解決や産業のイノベーションへと繋がっていくのか。その「生きた繋がり」を皆様と共に再確認し、次代を担う子供たちの可能性を最大化する術を研鑽し合いたいと考えております。

 今大会の舞台「三条・燕地域」は、400有余年の歴史を誇る金属加工の集積地です。ノーベル賞晩餐会を彩るカトラリーや世界を席巻するアウトドア製品を生み出すその技術は、摩擦、熱伝導、結晶構造、酸化還元といった、私たちが日々教壇で説く理科の知見が結晶化したものに他なりません。町全体が巨大な実験室ともいえるこの地で、教科書の記述が実社会の「価値」へと昇華する瞬間を体感してください。これこそが、探究学習を真に深化させる最高の実践教材になると確信しております。

 また、信濃川の悠々たる流れと越後山脈の稜線が美しい新潟の夏は、自然科学の視点からも多くの示唆を与えてくれます。本大会の記念講演では、会場校である三条市立大学のアハメド・シャハリアル学長をお迎えし、新たな視点での示唆をいただきます。3日目のコース別研修では、最先端の職人技から豊かな自然まで、新潟の地でしか得られない「本物の体験」をご用意いたしました。

 全国の会員の皆様とお会いし、理科教育の未来を熱く語り合えることを、新潟県運営委員会一同、心よりお待ちしております。